先日、岡山で行われた「発達障害コミュニケーション指導者認定2日間講座」というものを1泊2日かけて受けてきたのですが、とても素晴らしい内容の講座だったので少しだけお伝えします。
大事なポイントだけでもダイジェストにしてまとめようと思いますので、発達障害の子供がいらっしゃる家庭に少しでも参考になれば幸いです。
<追記>
➝発達障害コミュニケーション指導者
その後、指導者認定に合格することができました。これも皆様のお力添えのおかげだと思っています。
さらにステップアップしていきますので、ぜひ障害の子供のためにも応援してください!
この記事の概要
発達障害コミュニケーション指導者認定とは?
発達障害コミュニケーション指導者認定というのは何?
という人がいるかもしれませんので。ザッとした内容をお伝えします。
一般社団法人日本医療福祉教育コミュニケーション協会という団体が行っている認定制度で、これまで実践的な現場に活かせる資格がなかった問題を埋める役割をするものです。
この協会の理事長は小児科医の河野政樹先生で、発達障害の子供に対して「現場」でできることを実践に活かせるよう具体的にアドバイスをしている方です。
私も以前よりNPO法人で障害のある子供達と関わってきて、なにか現場で活かせる資格がないものか?と探していて耳に入ったという訳です。
私が今回講座を受けたのは「初級者認定」ですが、ほかにも中級者~上級者といった段階的に専門的な指導方法が学べるようになっています。
できれば今後、少しずつでもレベルを上げていけたらと思います。
発達障害コミュニケーション指導者認定でわかった大事なこと
発達障害コミュニケーション指導者認定の講座では「目からウロコ」のような事実に基づいた実践的な話が聞けて、今までの考え方が一変した部分もありました。
家庭への参考になるというか、社会を少しずつでも変えていくために取り組んでいきたい言葉が勉強できましたのでお伝えします。
「認められる」「褒められる」「大事にされる」
発達障害の子供は先天的に障害を持って生まれるという「個人要因」は40%で、残りの60%は生まれたあとの環境によって発達障害が進行する「環境要因」なんだそうです。
私はこの事を聞いたときには「腑に落ちた」という説得力を感じたのですが、もし同じ人間がいたとして生まれたときからまったく別の環境で過ごすと「別人」になるはずなんです。
そう考えると育ってきた環境というのはとても大事で、そこには「親の育て方」も大きく関わっているような気がします。
ちなみにCD(行為障害)へ発展した子供というのは「認められる」「褒められる」「大事にされる」が大きく欠けていることが原因ということで、暴れて人を傷つけて仕方のない子供にこの3つで接したらコロッと変わったのだそうです。
この話は、私にとってかなり納得できました。
それと同時にこれまでの日本の教育について考えるキッカケになり、まさにこの3つのポイントを欠いた「詰め込み」だったのではないかと思っているところです。
少しずつ日本の教育も変わりつつあるようですが、
社会にしっかりと浸透するまではまだまだ時間がかかります。
私たちがこの3つのポイントを実践していくことが、いずれ大きなうねりになるのでは?と感じます。
「出来るところから少しずつ」「出来ることしかできません」
そんな話を聞くと社会を変えるために「何でもかんでも改善しよう」と思いますが、出来ることは限られているので「出来る範囲」で実践すれば良いとの事。
社会を変えていこう!というと肩に力が入ってしまいがちですが、自分の範囲内で少しずつ取り組むことで大きな輪を作っていくしかない。
私もそんな話を聞いて鼻息が荒くなっていましたが、自分のテリトリーを出ても「次の人にバトンタッチできる社会」にしていくことが重要だと聞いてやっと落ち着きました。
「みんなが同じ対処法を共有して、誰もが同じレベルで対応できる社会」
これが大きな目標だとわかったんですね。
コミュニケーション指導者といっても子どもだけではなく、横のつながりについても重要なんだということがわかりました。
発達障害の子供へ対する「勉強のポイント」
講座では発達障害の特性から対処法まで、一連の対応を学ぶことができました。
さすがに後半の「薬物」のカリキュラムについては意思ではないため難しかったのですが、こんな私でも一般的な勉強への対処法は理解することが出来たかなと思います。
ADHD(注意欠陥多動性障害)
多動性と注意欠如といった特性がありますが、ほとんどの場合は両方の特性を併せ持っているのだそうです。比率はそれぞれの子供で違うそうです。
一般的に目立つ症状には「不注意」「衝動性」があり、いかにジッとさせるか?集中させるか?ということが勉強をするときのポイントです。
しかし最も困難なのがボーっとしていて一般的な「多動性」の症状が現れない場合。
一見すると健常児のように見えても、じつは授業が頭に入っていないという子供です。
しかしこういった症状の子供もやはり「集中力の欠け」を改善することが必要で、いかに興味が持てるか?が大事になります。
ADHDの子供に大切なのは「興味」で、それによってジッとするようになり集中できるようになるということです。
LD(学習障害)
「読み字」「書き字」「算数」といった特性に分かれますが、いずれにしてもその原因をひとつずつじっくりと改善していくことが大切です。
そのためには目の動きはどうか?、書くときにどこがいちばん難しそうか?計算するときにトランプなどを使うといいのではないか?などといった特性に合わせた勉強方法を考えていくことが必要です。
よく間違われるのが、学習障害だから勉強すべてがムリということ。
この3つの特性を全て持っている子供は極めて少なく、1つないし2つを併せ持つという子供がほとんどです。
まずどこが弱いのかを知って、ピンポイントに対応していくことが大切です。
ASD(自閉症スペクトラム障害)
以前はアスペルガー症候群などと言われていましたが、今では自閉性障害・小児期崩壊性障害なども含めてASD(自閉症スペクトラム障害)という呼びかたに統一されています。Rett障害だけは入っていません。
この障害の子供はメモリーが多いと言われていますが、つまり「脳細胞」が多いという訳です。
人よりも脳細胞が多いため、余計に感覚を感じてしまう特性があります。
この障害には「視覚」「聴覚」「体感覚」といった3つの過敏があり、それぞれに合った勉強方法を考えていかなければいけません。
たとえば視覚過敏であれば光を遮るためのサングラスや、聴覚過敏であればイヤーマフを効果的に使うなど、体感覚過敏であれば肌触りの良い衣服を着せるなど勉強以前の対応が大切になってきます。
勉強ではとにかく少しでもできたら「褒める」ことをしっかりと行うことが大切です。
さらに説明をするときに分かりやすいようにと省略してしまいがちですが、逆にしっかりとした順序を隔てた説明をすることで理解してくれるようになります。
家庭指導で注意する7つのポイント
- 親のほうが先に興奮してしまわない。
- 目線を子供に合わせて、刺激しない大きさの声でゆっくりと「小さい声」で伝える。
- 少しでも前進したと思ったら、必要以上に大きなアクションで応える。
- 「遊び」「食事」「勉強」の場所をきちんと分けることによって環境が整う。
- 肯定的な表現によってダメ出しを行う。
- あとどれくらいでこの勉強が終わるのか?といった見通しを伝える。
- 一度にたくさんの指示を出さない。
発達障害コミュニケーション指導者認定を受けた気付き
私はこの度「発達障害コミュニケーション指導者認定」の講座を受けに行って、より実践での対応について理解が深まりました。
障害の特性によっていろいろと対応の仕方は違いますが、基本はこれです。
「認められる」「褒められる」「大事にされる」
いずれの対応についてもこの3つが基本となっているので、対応方法が分からないときにはこの3つを思い出すと見つかります。
よく考えてみると簡単なことなのですが、なぜか難しいほうに考えてしまいがちです。
私は「生まれた意味」を考えるようにしています。
少し哲学的な考え方ですが、たぶんそこに行き着くと思います。
一度きりの人生を、楽しく生きるか?悲観的に生きるか?
極端かもしれませんが、そう考えるとわかりやすいのかなという気がします。
少しでも今回の勉強を広めていければと思っています。
最後になりますが、この世に生きている人はすべて発達障害です。
その理由は、発達障害の基準が「明確」ではないためです。
逆に「全ての数値がまったくど真ん中」という人っていますか?
かならず少しずつ大なり小なりある、それの方が普通なんです。
だって人間ですから。
「みんな違ってみんないい」というフレーズを聞いたことがあるはずです。
発達障害というのは、特別ではなく「それで普通」です。
いつから「変な人」になったのでしょうか?
今回の講座でも、最後にこのように言われました。
「ここに来ている人はすべて発達障害です」・・と。
私にはとても納得のできた言葉です。
それと同時に、自分も発達障害で良かったとさえ思えました。
社会の中に競争があるのがこんな結果を招いたような気がします。
少しでも住みよい社会に変えていけたら、私も生まれてきた甲斐があったと思います。
最後までおつきあいいただき、誠にありがとうございました。
ぜひ、こちらも参考にしてみてください。
https://gakusyujyuku.com/archives/22076